« 自由を求め歩きつづけて | トップページ | 近くを散歩 »

2017年6月11日 (日)

世流に逆らう

浄瑠璃寺住職の佐伯快勝さんと、東洋文化研究家のアレックス・カーさんとの対談をまとめた『世流に逆らう』を読んでいる。

1497132106295.jpg
佐伯住職は、浄瑠璃寺の境内の配置について、次のように解説されている。
「東の丘に薬師如来が祀られる三重塔、その真正面にあたる西側に九体の阿弥陀如来を祀る阿弥陀堂、真ん中に池を挟んで東西が一直線につながっています。」
「東の『浄瑠璃浄土』にいるお薬師さんからありがたい薬をもろうて生まれた命が、池に象徴される現世に生き、やがて西方の阿弥陀堂に迎えられて『極楽浄土』へと向かう一生をこの庭は教えとるんです。浄瑠璃は薬師如来が守る静寂で何もない世界のことで、極楽は豊かなものや美しい音楽が溢れる阿弥陀如来が守る世界ですね。」
春と秋のお彼岸の日には、東の三重塔から日が昇り、池の上を通って西の阿弥陀堂に沈むという。この日にお参りして、浄土に思いを馳せたい。

1497138445350.jpg
「農耕の民である日本人には、そういう連帯感(助かるなら皆で助かる、犠牲になるなら皆で犠牲になる)が脈々と受け継がれてきたはずなんです。しかし、今の日本には、一部の犠牲は仕方がないという考え方の人の方が多くなってきているんですね。それこそ、今度の原発の事故の問題で如実に現れたんとちがいますか。仏教では皆が助からないと意味がないんです。」

1497132107666.jpg
カー「浄瑠璃寺の魅力の最大のポイントはそこなんですね。庭園にしろ仏像にしろ『世流に逆らっている』。静かに別世界を保っています。この靜かな自然の境内そのものが、現代人にとって極めて尊い教えを示唆していると思うんです。『気づきの装置』っていうのでしょうか、自ずから気づかせてくれる空間なんです。」
佐伯住職は、スピーディーでグローバルな現代の世流に逆らい、「我を捨て、ひとえに他のためにして、私をはなれるなり」が大事だと言われる。さすが名僧と言われる人の言葉だ。
岩波書店『大和の古寺ー浄瑠璃寺・岩船寺・海住山寺』には、吉祥天女像のすばらしい写真が載っている。ふくよかな面相や天平風の華麗な衣装など、思わず目を奪われてしまう。

1497147456300.jpg

1497147457781.jpg

1497147459086.jpg
四天王立像(増長天・持国天など)は平安後期の国宝である。憤怒の形相が恐いくらいだ。


|

« 自由を求め歩きつづけて | トップページ | 近くを散歩 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/570251/65396333

この記事へのトラックバック一覧です: 世流に逆らう:

« 自由を求め歩きつづけて | トップページ | 近くを散歩 »